calender bar inside bar contact bar links bar link

イベント詳細


GCOE若手シンポジウム「自然災害後のロジスティクス」

開催日:2009年4月17日
場所:京都大学桂キャンパス Cクラスター C1-2棟 グローバルホール人融

主催:
京都大学グローバルCOEプログラム「アジア・メガシティの人間安全保障工学拠点」

共催:
大学院教育GPインテック・フュージョン型大学院工学教育

出席者数:37名

Poster
Report 044

概要

何千年にわたり、自然災害は多大な経済的・人的損失を引き起こしてきたが、かかる災害やその経済的・人的影響の規模は多様である。また、自然災害は、地球温暖化や気候変動に対する今後の備えを議論するにあたり重要な位置にある。被災後の取り組みは、基本的に救助活動・支援物資の配布・再建の3段階から成り、関係者に及ぼす影響は段階毎に異なる。
本シンポジウムは、大規模災害の影響の軽減及び災害への効率的な対応に活用できる交通システムについて、救助活動管理、民間企業及び政府の観点から紹介することを目的とする。

報告

本シンポジウムでは、研究者、政府、民間セクターの代表者により、アジア大都市における大規模災害の影響を軽減させる上で、人間安全保障の観点から交通ロジスティクスの果たす役割について議論しました。シンポジウムでは、谷口栄一教授(京都大学)が開会の辞を述べ、防災対策の一つとしてロジスティクス計画を研究することが重要であることを強調しました。一番目の発表者であるDr. Sideney Schreinerは"Disaster, Logistics, and Human Security"という題目にて、災害が及ぼす社会経済的な影響について紹介し、安全配送戦略を評価するためのマイクロシミュレーションを用いた方法論を紹介しました。二番目の発表者であるRussell G. Thompson上級講師(メルボルン大学)は"Resilient Urban Transport Logistics Networks"という題目にて、予算制約下での復旧の優先順位を考慮した、効率的なネットワークの復旧プロセス計画について説明しました。次に、柴崎隆一氏(国土交通省国土技術政策総合研究所)は"Risk Scenario Analysis in Southeast Asia : An Application of Model for International Cargo Simulation"という題目にて、国際的な海上物流フローの途絶が及ぼす経済的な影響を定量化する試みを紹介しました。特に、自然災害や人的災害に対する脆弱性に着目した上で、不安定で複雑な東南アジアの港湾間の関係性に焦点が当てられました。最後に、浜崎章洋氏(日本ロジスティクス研究所)は、"Case Study: Logistics Risk Management of Japanese Company for Natural Disaster"と言う題目で、民間セクターの視点から災害後の事業計画について発表を行いました。日本の物流において、在庫を持たない点とトラックにより独占的に配送がおこなわれている点が特に脆弱であると指摘しました。また、浜崎氏は、緊急時の物流をスムーズに行うための、配送会社と政府間の協力を促す様々な取り決めを紹介しました。
シンポジウム全体を通じて、災害前の計画及び災害対応時の段階において、異なる主体間で協力関係を構築する必要性について議論しました。また、時事に応じたネットワークデータや交通データ、非常設備の利用において協力関係を構築でき、計画自体も協調的に策定される状況であれば、災害の発生前後を問わず良い結果に結びつくことを指摘しました、