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プログラムの目的

アジア・メガシティ(注)の問題点

2007年現在、都市居住人口は32億人。2030年には1.5倍の49億人へ。そのうち、アジア・メガシティには11都市、2.0億人が居住。今後、さらに大きく増加しようとしています。
都市人口の激増は、都市サービス不足、エネルギー消費などによる環境汚染の増大をもたらすとともに、脆弱地域への人口流入は気候変動と複合し災害リスクを激増させるなど、人間の生存・生活を大きく脅かしています。

(注)通常、人口1000万人以上の連坦した都市域を称するが、本拠点計画では、これに限らず、広域的な人口集中に起因する諸様相を呈する都市を対象とします。また、日本の都市も対象とします。

世界のメガシティ(2010年)
Rank City Country Population
1 Tokyo Japan 34,000,000
2 Canton China 24,200,000
3 Seoul Korea 24,200,000
4 Mexico City Mexico 23,400,000
5 Delhi India 23,200,000
6 Bombay India 22,800,000
7 New York United States 22,200,000
8 Sao Paulo Brazil 20,900,000
9 Manila Phillippines 19,600,000
10 Shanghai China 18,400,000
11 Los Angeles United States 17,900,000
12 Osaka Japan 16,800,000
13 Calcutta India 16,300,000
14 Karachi Pakistan 16,200,000
15 Jakarta Indonesia 15,400,000
16 Cairo Egypt 15,200,000
17 Beijing China 13,600,000
17 Dacca Bangladesh 13,600,000
17 Moscow Russia 13,600,000
20 Buenos Aires Argentina 13,300,000
21 Istanbul Turkey 12,800,000
21 Tehran Iran 12,800,000
23 Rio de Janeiro Brazil 12,600,000
24 London Great Britain 12,400,000

Thomas Brinkhoff: City Population, http://www.citypopulation.de

「都市の人間安全保障工学」の構築

「都市の人間安全保障工学」、すなわち「市民の生活を、ミレニアム開発目標などに代表される日々の都市生活に埋め込まれた非衛生・不健康及び大規模災害・大規模環境破壊などの脅威から解放し、各人が尊厳ある生命を快適に全うすることができる都市と都市群をデザイン・管理する技術(技法)の体系」を構築します。これまで実施してきた都市ガバナンス、都市基盤マネジメント、健康リスク管理、災害リスク管理の4領域にわたる教育科目・研究等の相補的連携と統合を図ります。具体的には、アジア・メガシティーを対象とし、①徹底した現場主義と適正な地域固有性の積極的取り込み、②工学技術と都市経営管理と制度づくりの共進化 (coevolution)、③利害・価値観が異なる多様なアクターが主体となる重層的ガバナンスの内包化、の3点にポイントをおいた問題解決型の教育・研究を行い、実都市の問題解決に寄与することによって、モード2(注)の学問としての社会的有用性を実証します。また、この成果を英文テキストとして刊行します。
(注)問題設定が社会的応用によって決まるトランスディシプリナリーな科学(マイケル・ギボンズ、1997)

「次世代研究者及び高度な実務者の育成とメガシティにおける人間安全保障の確保」

これまでに構築・展開してきたアジア諸国での教育・研究拠点を組織化した国際的教育・研究拠点ネットワークにより次世代研究者及び高度な実務者を育成します。また、いくつかのメガシティにおいて、非衛生・不健康、大規模災害及び環境破壊などから脱出するロードマップと都市マネジメント戦略の具体的な処方箋を提案し、アジア・メガシティにおける人間安全保障問題の解決に大きく貢献します。具体的な活動内容は以下のようになります。

  1. 海外活動拠点、海外連携拠点の設置・展開
  2. 新しい博士課程教育プログラムの開設(年間20名)
  3. 重点共同研究プロジェクト等の推進
  4. 多数のシンポジウム・ワークショップの実施

「都市の人間安全保障工学教育・研究センター」の設置・運営

本プログラムにより、これまで独自に先鋭化しがちであった土木工学、建築学、環境工学、防災学といった既存の学問は、メガシティの人間安全保障といった具体的課題を課されることによって、本来的な意味での市民工学としての輝きと社会的有効性を取り戻し、広く工学技術を越え、都市政策学・ガバナンスなどをも包含した「アジア発の人間安全保障工学」として、世界的な学術潮流を巻き起こします。

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