都市ガバナンス
研究領域リーダー 門内輝行 教授
研究領域の目的
都市ガバナンス領域では、都市基盤マネジメント、健康リスク管理、災害リスク管理の3領域を統合し、都市の人間安全保障問題を解決するために、多様なアクターが協働して意思決定を行う方法論を探求します。
研究の特徴
「都市の人間安全保障工学」では、1「脆弱性(災害リスク、健康リスク)の削減、「ベーシック・ヒューマン・ニーズの充足」にとどまらず、2環境・景観・ 文化の保全・再生・創造を含む「生活の質の向上」をめざすことを考えています。そのために、工学や社会科学を駆使して、安全性・健康性、利便性・経営合理性、快適性・アメニティ・社会合理性、持続可能性などを含む多次元的な都市問題を解決していくことにします。ここで重要なことは、自然環境、社会-文化環境、人工環境、情報環境といった異なる環境の関係、及び建築・都市から地球に至る環境のスケールに配慮して問題解決を図る「重層的な都市ガバナンス」が求められることです。今日、多様なアクターが登場し、アクター間の関係にも変化が現れています。政府、市場、市民社会のセクターに加えて、NGOやNPOなどの新たなアクターが登場し、多様なアクターの協働によるボトムアップ型の問題解決が注目を集めています。特に、地域固有性に根ざしたコミュニティの問題解決能力の強化は、都市ガバナンスの最大の課題の一つといえます。
そこで本領域では、徹底した現場主義の立場から地域の内発的発展のプロセスや地域独特のグッド・ガバナンスを重視し、市場交換・再配分・相互扶助・自給といった多様な資源配分の仕組みを組み合わせ、最も脆弱な人々の声を意思決定に取り入れることにより、環境・経済・社会の持続可能性の確保、個々人の生活の質の向上を可能にする都市基盤や社会資本を蓄積していく「都市ガバナンスの方法論」を探求します。
都市の人間安全保障工学(HSE: Human Security Engineering) における都市ガバナンス領域
※一部に V.A.Pestoff の図(The Third Sector in the Welfare Triangle) を修正したものを含む。