イベント詳細
GCOE特別セミナー「分析法開発のノウハウ」
開催日:2009年4月25日 - 29日
場所:清華大学北京本校(中国)
主催:
京都大学グローバルCOEプログラム「アジア・メガシティの人間安全保障工学拠点」
共催:
京都大学EMLプログラム「環境マネジメント人材育成国際拠点」
出席者数:5名
Report 034
概要
清華大学北京本校の環境科学与工程系のWang Wei研究室では、廃棄物由来のメタンガスの有効利用をテーマとした研究が行われている。この研究においては、メタンガスや酢酸、吉草酸などの有機酸の分 析をGCを用いて行っているが、これらの分析結果が理論値と乖離しているなど分析技術レベル不足が原因と考えられるトラブルが起きている。しかしながら Wang Wei研究室には、、環境分析に精通した教員がいないため、実技指導形式のセミナーを開催することで環境分析について理解を深める必要がある。現地では、実 際に研究室のスタッフが分析に使用している機器を用いて日々の分析における疑問に答えるとともに、現状の分析条件の見直しならびに分析法開発のノウハウに ついて指導し、これらを習得することを目的とする。また本セミナーによって、今後、深圳拠点と清華大学北京本校との連携が高まる事が期待される。
報告
本セミナーでは、まず始めに、参加者が日常の分析において抱えている問題についてヒアリングした。 その結果、分析結果が理論値から大きく乖離(2オーダー以上)していることから、その原因を突き止めるとともに改善する必要性が示唆された。従って本セミ ナーでは、基本的な器具類の正しい操作方法、GC/FIDの原理、前処理方法、測定条件の見直しを内容とした。ガラス器具類の操作には習熟していたもの の、誤差を生む操作方法が散見されたため、適宜指導を行うとともに、与える誤差について説明した。同様に、通常行っていた前処理方法を1ステップずつ見直 した。これらにより1オーダー程度の誤差を削減する事ができた。さらに、通常使用しているGC/FIDの条件の見直しを行った。まず測定条件を確認したと ころ、カラム温度がいくつかの対象物質の沸点以下で測定を行っていたことが明らかとなった。このため、1昼夜に渡り高温条件下でカラム洗浄を行ったが、対 象物質の濃度を測定可能なレベルまでブランクレベルを下げるには至らなかった。そこで保有するカラムの中から有機酸の分析に適用可能と思われるものをピッ クアップし、これを用いて分析を試みた。具体的には、昇温条件を変化させながら、定量可能な分離とピーク形状が得られる条件を検討した。その結果、完全で はないものの、一定の分離とピーク形状を達成する事ができた。時間的制約があったために、最終的な測定条件の確立に至らなかったが、実践形式で行われたた め、分析方法の検討手順が効果的に理解された。