calender bar inside bar contact bar links bar link

イベント詳細


日中の水環境改善の下水道技術に関するワークショップ

開催日:2009年7月23 - 24日、27日
場所:東京都庁、国土技術政策総合研究所、東京都水再生センター、千葉県茂原市、霞ヶ浦

主催:
- 京都大学グローバルCOEプログラム「アジア・メガシティの人間安全保障工学拠点」
- 環境マネジメント人材育成国際拠点

出席者数:9名

Report 050

概要

清華大学環境科学工程学部では、国家プロジェクトである第十一次五ヶ年計画を常州市にて実施している。このプロジェクトでは、常州市にある汚染の著しい太湖の一層の汚染を防ぐために、新たな湖の浄化技術や下水道の改善計画・技術開発、湖や河川での直接浄化などを行うこととしている。本ワークショップでは、常州市の第十一次五ヶ年計画の主要メンバーに対し、日本の持つ先鋭的な下水道、管渠 の維持管理手法や合流改善、汚泥処理を概説・紹介するとともに、下水処理場や湖の浄化施設、真空式下水道などに関する現地視察を行い、同プロジェクトへの反映を期する。本ワークショップには、このプロジェクトを主導する清華大学北京本校および実際の現場を管理・運営する常州市のエンジニアが参加する事から、これまでに深圳拠点で構築してきた中国側との関係をより拡充することができる。

報告

ワークショップは、7月23日に東京都庁、7月27日に国土技術政策総合研究所において実施された。東京都庁では、中国の参加者からの要望が高かった分流式下水道の誤接続の検知方法、合流式下水道の改善技術について紹介を受けた。一方、国土技術政策総合研究所では、我が国の下水道関連技術に関する包括的な説明を受けた。つまり、下水道全般の話題として、近年注目され始めたアセットマネジメント技術、下水輸送システムの話題として、真空式下水道の腐食対策、ビルピット、下水道未普及地区での対策が紹介された。一部の技術については、既に類似の技術を常州市で適用しており、両者の違いや日本で用いられている技術の優位性などについて積極的な質疑が繰り返された。 現地視察は、合流改善の対策が行われている東京都の下水処理場、千葉県の真空式下水道施設、ならびに茨城県の霞ヶ浦の各種水質浄化施設について実施した。合流改善の技術として、ろ材を用いた高速ろ過施設が紹介され、特にろ材について活発な質問があった。また真空式下水道では、管の閉塞の問題とその検知方法などについて討議が行われた。さらに霞ヶ浦においては、浮島による栄養塩対策、ヨシ原の保全、浚渫土から生息する植物による水質浄化など、主に自然本来が持つ機能を利用した湖の水質改善について説明が行われ、太湖を抱える常州市からの参加者は熱心にその効果について確認した。 本ワークショップおよび現地視察を通じて、中国側の参加者には、日本の水質浄化に関する先端的取り組みを披露するとともに、両国にとって有益な情報交換が出来た。今後も、今回の参加者をキーパーソンとしながら、両国のさらなる関係の醸成を目指す。