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イベント詳細


コンクリート材料・構造の耐火性に関する研究会

開催日:2009年8月18日
場所:京都大学桂キャンパス Cクラスター C2 ゼミ室(413)

主催:
京都大学グローバルCOEプログラム「アジア・メガシティの人間安全保障工学拠点」

出席者数:7名

Poster
Report 059

概要

本研究会では、コンクリート材料および構造の耐火性に関する研究者が会合し、研究情報を交換するとともに、将来に向けた連携および共同研究の可能性を探ることを目的とした。

報告

シンポジウムにおいては、コンクリート材料および構造に関する研究成果を研究会形式で順次発表し、 討論を行った。始めに、西山峰広教授(工学研究科・建築学専攻)がプレストレストコンクリート部材の耐火設計の考え方を解説し、部材実験の結果を踏まえた終局耐力設計および変形制御のために今後必要となる研究テーマを示唆した。次に、林成俊氏 (工学研究科・建築学専攻・博士課程)が、PC鋼材の高温時強度および弾性係数の低下と高温クリープのモデル化について発表した。 熱応答予測法に関しては、ゲスト滞在中の呉崇豪氏(台湾:国立中興大学土木工学系博士課程)が、 京都大学で開発された有限要素法プログラムを用いて梁断面温度分布の解析を行っており、その途中経過が発表された。温度分布予測とこれを用いた設計式の提案に関しては、今後も研究を進めることとした。 高強度コンクリートに関しては、火災初期の急激な温度上昇のためにコンクリートが表層部から破裂し、内部まで進行する現象があり、爆裂と呼ばれて いる。日本学術振興会フェロー(京都大学招へい外国人研究者)の權寧璡教授(韓国:湖西大学 消防 防災学科)は、韓国におけるコンクリート構造物の火災事例と高強度コンクリートの爆裂対策の現状を解説し、コンクリート材料学の立場から爆裂メカニズムを解明し、科学的な対策を講ずる必要性を力説した。原田和典准教授(工学研究科・建築学専攻) は、コンクリートシリンダー内部の熱水分同時移動解析に基づき、熱応力と空隙内圧力上昇の作用下で の材料内応力解析を行った結果を発表し、爆裂発生のメカニズムに関する仮説を提示した。
討論の結果、現状の解析モデルに材料学的な観点と破壊メカニズムを陽的に導入することで、さらに納得のいく説明が可能になることが推定され、今後の共同研究テーマとして継続的な協力を行うことと なった。2名の聴講者からは、関連する分野についての情報交換と、関係する研究プロジェクトを含めた協力を推し進めることとなった。 今回のシンポジウム参加者は少数であったが、それ故に研究基盤が異なるにもかかわらず、深い議論を行うことができ、研究推進のために非常に有益であった。