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イベント詳細


都市域における沿岸災害に関する日韓セミナー

開催日:2010年1月28日
場所:京都大学 おうばくプラザセミナー室1

主催:
- 京都大学グローバルCOEプログラム「アジア・メガシティの人間安全保障工学拠点」
- 災害リスク管理研究領域(防災研)

出席者数:8名

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概要

本セミナーは、文部科学省グローバルCOE「アジア・メガシティの人間安全保障工学拠点」の災害リスク管理研究領域の主催で、海岸侵食に代表される都市域における沿岸災害について、その最新の研究成果を紹介するものである。 中国、韓国、台湾といった東アジアの国々では、台風の襲来や集中豪雨により、毎年多くの水害に見舞われている。特に、日本や韓国では海岸侵食の深刻化が顕在しており、今後予測される気候変動に伴う台風・低気圧の強大化やそれらの発生域・進路等の変化によって、沿岸域における災害態様がこれまでとは一変する恐れが指摘される。このような背景のもと、将来的にはアジア各国における比較沿岸災害学を展開することを視野に入れつつ、本セミナーではその第一歩として、日本と韓国における近年の沿岸災害の実態およびそれらの防災・減災研究の動向について情報交換するとともに、大規模都市域における沿岸災害防止に向けて、今後開発すべき観測・予測手法やとるべき種々の対策について、総合的な議論を展開することをねらいとするものである。

報告

セミナーでは、韓国側からLEE Moon Ock・Chonnam大学教授による「Effects of wind stress on tidal currents in coastal waters」、およびPARK Il Heum・Channam大学教授による「Shoreline changes near the coastal structures at the east coast of Korea」、また、日本側からは渡辺一也・香川高等専門学校助教による「An Estimation Method of Water Depth at River Mouths and its Applicability」という題目でそれぞれ話題提供がなされた。 LEE教授は講演で、韓国Haeundae海岸における侵食問題を検討する目的で行った陸上および洋上での気象海象観測の結果を紹介し、海岸侵食問題を検討する上での風況条件(吹送流)を考慮することの必要性と、そのための洋上観測点の設けることの重要性を指摘した。次にPARK教授は、韓国東海岸において近年深刻化している港湾閉塞の例を紹介し、この問題における沿岸方向標砂量を把握することの重要性を指摘すると共に、自身が開発した数値シミュレーションモデルによる沿岸標砂量の推定や、それに基づく構造物の影響評価などの適用例を講演で示した。最後に渡辺助教は、河口部管理における地形把握の重要性を指摘し、水位計測に基づく水深の簡便な推定法を示した上で、国内数河川に適用した結果からその適用限界と関連パラメータについて議論した。各講演終了後いくつかの質問があり、またセミナー終了後も講演者と参加者の間で討議が続けられるなど、このテーマへの関心の高さが示された。