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イベント詳細


貯留層モニタリングにおける地球科学的手法の利用

開催日:2010年3月3日
場所:京都大学桂キャンパス Cクラスター C1 会議室(152)

主催:
京都大学グローバルCOEプログラム「アジア・メガシティの人間安全保障工学拠点」

出席者数:約25名

Mini-Seminor Information
Report 092

概要

GCOEプログラム「アジアの大都市に対する人間安全保障工学の教育研究に関する国際センター」が2010年3月3日に京都大学桂キャンパスCクラスター152号室で開催された。このセミナーは、2010年3月1、2日に東京で開催された人間安全保障とそれに関する技術開発である人間安全保障工学についての京都大学・JICAの共同シンポジウムと連携して開催された。セミナーの目的は、人間安全保障工学問題と強い関係性があるCCS-EOR(EOR と同時にCCSを行うこと)の将来の研究計画の準備に関する最近の研究内容を発表し普及させることである。

報告

本セミナーは、京都大学・ITB大学から9名の発表者が、Pertamina開発生産技術センターから1人発表者がいた。Pertaminaとはインドネシアの国営石油天然ガス会社である。松岡教授とSantoso教授の二人の主要発表者がいた。松岡教授は発表を始める前に、歓迎の言葉と人間安全保障工学問題における地科学の解釈の重要性について述べ、CCS-EOR、インドネシアなどにおけるアジアの人間安全保障問題の必要性を強調し、貯留層モニタリングの重要性について簡単に述べた。
最初の主要発表者は松岡教授で、「開発工学へのマイクロトリマー法の適用」という題で発表を行った。彼は地球物理学のこの比較的新しい手法、特に表面波のS波速度を決定する特徴に関して説明を行った。二人目の主要発表者であるSantoso教授は環境問題から人類が生き残るための地球物理学技術の挑戦に関して述べた。彼は環境問題を解決するためインドネシアにおける人権問題の例やこれまでの地球物理学の貢献を挙げた。
次の発表者はWawan Gunawan A. Kadir准教授である。彼は石油を回収するため、多層構造のCO2貯留層への注入における4D重力探査の適用に関して述べた。この発表で、彼はインドネシアのいくつかの石油ガスフィールドにおける4D重力モニタリングの適用について紹介した。この探査方法はコストが他の手法と比べて低いため、重力探査の適用はインドネシアや世界中の多くの石油会社で採用されている。
次の発表者は湊翔平である。彼の発表は大変興味深い内容である。彼は坑井間の震源を用いない地震波干渉法について話をした。この探査手法は浅部を探査する地震波干渉法で大変素晴らしいアイデアである。彼の発表の中では、2つの掘削孔間の地表面付近の層構造を作り出すことが可能である。この安価な手法は石油ガス業界で大変一般的な既存のVSP法の代わりを担う。
Dina A. Sarsitoの発表は、Jakarta、Bandung、Semarangを含むインドネシアの都市部における、地法を利用した地盤沈下研究に関するものである。地盤沈下の原因は地下水採取、建設荷重による誘発、沖積層の圧密や地殻変動活動などである。これまでに一連のモニタリング観察から地盤沈下の割合を観察することができる。将来的には、既存のモニタリングデータと他の地球科学のデータとを組み合わせて分析することにより、具体的な地盤沈下の原因を探るつもりである。
Mokhamad Yusup Nur KhakimはINSARとsteam assisted gravity drainage(SAGR)計画モニタリングに対するINSARデータの逆解析に関して発表した。彼はガスを貯留層に注入することによる地表面のひずみを周期的に得られるINSARデータからモニタリングすることが可能であると示した。また、INSARデータの逆解析を紹介した。実際に、ある時間ある地表面の変位を評価することができた。この情報は地表面に注入されたガスがすでに正しいターゲットの中にあるか確認するために大変重要である。
Eko. Widianto博士はPertamina EPTCの主任研究員である。彼は「石油ガス産業における重力データの利用のパラダイムシフト」に関して話をした。彼は石油ガス産業で約30年間も働いてきたので、彼の発表は特に重力に利用に関する彼の経験に基づくものである。古典的な重力法の探査への適用を初めに少し説明し、最後はEOR中の流体や二酸化炭素の動きをモニタリングするための4D微小重力法のような高度な技術に関して話をした。この技術はインドネシアでは極めて一般的な手法で、現在大変高価手法である4D地震波法に代わる可能性がある。
次の発表者は増井玲央那である。彼は学部4回生で卒業研究を京都大学の環境資源システム工学研究室で行った。移動式MEMS重力計の海底熱水鉱床への適用に関する発表を行った。この研究は統合的な事例研究である。MEMS重力計はまだ市場に出ておらず、彼のテーマは新しい重力探査手法の開発である。東京の遊園地の観覧車でMEMS重力計の精度を測定した。この結果から、MEMS重力計の精度は0.3mgalであり、熱水鉱床の探査の適用にはまだ不十分である。将来により優れた精度のMEMS重力計が出来る予定である。
最後の発表者はMohammad Rachmat Sule博士である。彼は京都大学の環境資源システム工学研究室の博士研究員であり、ITB大学の教員である。彼の発表は比較的新しいCRSスタックと呼ばれるイメージング手法である。この手法はインドネシアの油田で得られた複数の反射法地震探査データに適用されてきた。また、地震波データのいくつかの大きな改善点について、特に反射点が大変連続的あるということを述べた。この技術は複雑な地質学的構造の地震波データを処理するのに大変重要である。発表の最後に、ITB工科大学で作られた使いやすいCRSスタックのソフトウェアの近年の発展に関して説明をした。
本セミナーは18時15分に終了し、予定より1時間延長した。聴衆は最後まで大いに盛り上がり、何人かの学生は発表資料に関してより詳しく議論する機会を得ていた。