イベント詳細
2010年度道路アセットインフラ管理に関する京都大学−ベトナム交通通信大学ジョイントトレーニングコース
開催日:2010年9月24日 - 26日
場所:ベトナム交通通信大学(ベトナム)
主催:
- 京都大学経営管理大学院
- ベトナム交通通信大学
共催:
- 京都大学グローバルCOEプログラム「アジア・メガシティの人間安全保障工学拠点」
- 京都大学経営管理研究センター
出席者数:約40名
Report 122
概要
道路インフラアセットマネジメントに関する京都大学とベトナム交通通信大学(University of Transport and Communications)のサマーコースは、2005年から毎年開催しています。このコースの目的には、1)インフラアセット管理の基本的な概念と理論の理解、2)舗装や斜面、橋やトンネル等の道路インフラを設計し、管理するための基本的な分析枠組みを習得、3)建設、管理におけるリスク管理手法の理解の深化、4)これらの知識の実社会への適用方法の習得、5)講義受講者に対する終了証の授与があります。さらに、道路アセット管理に関する最新の傾向を把握するため、講義内容は最新の研究成果を踏まえた形で毎年更新しています。本サマートレーニングコースは、道路管理に携わる学生、研究者さらに実務者を対象に行っており、講義の質を担保するため、ベトナムにおける道路管理に実際に携わる実務者や研究者を講義者として招聘しています。本コースの最終的な目標は、道路アセット管理に関する経験や知識を普及させ、実務者や学生の能力開発を行うことであり、こうした講義を通じて、ベトナム政府が独自に道路管理システムを開発、管理していくことを促しています。
報告
サマートレーニングコースでは、約30名の参加者を迎えた上で、UTCの総長の開会の辞により開会しました。 初日(9月24日)は、貝戸講師(大阪大学)より、マルコフハザードモデルを用いたアセットマネジメント手法について、ニューヨークの実例を踏まえた上で紹介されました。続いて、吉田助教よりアセットマネジメントの肝である基本的なハザードモデルについて講義が行われました。タオ講師(UTC)は、マルコフ推移確率を適用したライフサイクルコスト予測手法について実例と共に紹介しました。 続いて、青木講師((株)パスコ)は、日本におけるインフラ管理のケースについて紹介を行いました。初日最後は、塩谷准教授より橋梁管理の先進的なモニタリング技術について講義を行いました。
二日目は、はじめにUTCのNguyen Viet Trung教授が橋梁のリスク管理について講義を行いました。続き、Nam講師が道路舗装管理の新しいパラダイムについて説明しました。Han講師は、舗装管理のシステムに焦点を絞った上で、実用的なシステム運用について講義を行いました。坂井講師および神谷講師は、それぞれ実務者の立場から日本における高速道路の管理について紹介を行いました。二日目最後は、大津教授が、道路管理における斜面管理の重要性について講義を行いました。三日目は、小林教授が道路インフラ管理の包括的な説明と今後の発展の方向性について講義を行いました。続いてNam講師が道路アッセット管理の実践に向けたE-bookについて紹介しました。E-bookは、本コースで得られた結果の一つであり、アセット管理における基本的または先端的な知識を提供すると共に、多くの実例を閲覧可能なプラットフォームを提供します。最後に、河野教授がコンクリート構造物の管理手法について講義を行った。講義終了後は、本トレーニングコースに関する受講者の理解を確認するため、試験を実施した上で、各受講者には修了書を授与してトレーニングコースを終了した。
トレーニングコースの実施により、1)人的資源の開発、2)アセット管理に関する知識、技術、経験の蓄積、3)政府、民間組織、大学の協力関係の強化、が実現された。