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イベント詳細


国際シンポジウム Hanoi Geoengineering 2010 「気候変動下での近代地盤工学、天然資源および持続可能性」

開催日:2010年11月22日 - 23日
場所:Conference Hall, Vietnam National University, 19 Le Thanh Tong(ベトナム・ハノイ)

主催:
- ベトナム国家大学ハノイ校(Vietnam National University, Hanoi)
- アジア工科大学(Asian Institute of Technology)
- 京都大学(KU)
- International Institute for Geo-Information Science and Earth Observation (ITC)

出席者数:約300名

Hanoi Geoengineering 2010 Flyer
Report 096

概要

本シンポジウムは、ベトナム国家大学ハノイ校VNU(Vietnam National University, Hanoi)を中心とするベトナムの大学および研究機関、アジア工科大学AIT(Asian Institute of Technology)および京都大学が、Hanoi Geoengineering 2005およびHanoi Geoengineering 2007に引き続き開催されたものである。過去2回のシンポジウムは、在来的な地盤工学および地盤探査にかかわる技術的観点からの検討が主たる課題であった。しかし、今回のシンポジウムでは、世界規模での喫急に課題となっている気候変動下における、地盤工学および資源開発に関する持続可能性をメインテーマとし、当該分野でのアジア各国における課題、およびその研究動向について共有化を目的として開催された。

報告

シンポジウムでは、基調講演として、Mai Trong Nhuan(ベトナム国家大学ハノイ校、学長)、Noppadol Phien-wej (アジア工科大学)および筆者から、それぞれ「ベトナムにおける海岸浸食の状況」、「バンコクにおける地下開発」および「タイにおける斜面崩壊」に関する講演がなされた。いずれの課題も、当GCOE分野での一テーマである、東南アジア地域における地盤・地盤構造物を対象としたアセットマネジメント(Geotechnical Infrastructure Asset Management)に関する話題であった。いずれの基調講演においても、多くの参加者との質疑応答がなされ、東南アジア地域における当該分野に関する課題に対する関心の高さが実感された。
その後の5つの一般セッションにおいては、ベトナム、タイ、オランダ、ノルウェイ、日本、韓国の参加者による計45編の口頭発表がなされ、各セッションで活発な質疑応答がなされた。
この回のシンポジウムでの発表および質疑応答の特徴は、前の2回シンポジウムに比較して、横断的な質疑が活発に行われたことである。この背景は、以下のように想定される。例えば、ベトナムにおける海岸浸食は、沿岸部の開発に伴うマングローブ林の伐採によって引き起こされたものであり、今後の地球温暖化に伴い、その浸食がさらに加速することが想定される。また、インドシナ半島における斜面崩壊は、気候変動に起因する集中豪雨の発生頻度の増加、および都市部の拡大に伴う無秩序なインフラ整備による斜面掘削により急増しつつある。いずれの課題も、持続可能な発展性についてのみならず、その地域の住民の安全について複合的な観点からの検討を要するものであり、当GCOEのテーマである「アジア・メガシティにおける人間安全保障工学」に即したものであると確信した。
このような観点から、今後とも当シンポジウムのような機会をとらえて、当該分野に関する知見を収集するとともに、多くのアジア地域の研究者および実務者との意見交換を継続していく所存である。