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イベント詳細


京都大学グローバルCOEプログラム 「アジア・メガシティの人間安全保障工学拠点」
防災研国際セミナー −最近の東アジアの水災害−


開催日:2010年12月7日
場所:京都大学防災研究所 大会議室(D-1518)

主催:
京都大学防災研究所 GCOE-HSE 災害リスク管理研究領域

出席者数:約30名

Report 130

概要

気候変動やヒートアイランドの影響で、東アジアの国々(中国、韓国、台湾、日本)で集中豪雨による洪水氾濫が頻発している。中国では2010年夏、全土にわたって数多くの洪水被害が発生した。また日本でも2009年夏には兵庫県佐用町・宍粟市で多数の人命を奪う洪水氾濫が発生した。
このような背景のもと、本セミナーは、文部科学省グローバルCOE「アジア・メガシティの人間安全保障工学拠点」の災害リスク管理研究領域の主催で実施したもので、中国天津大学、水利水電科学研究院から研究者を招き、中国における最近の洪水・土砂災害の実態報告を受けるとともに、都市域を含む中小河川の洪水氾濫の予測解析手法に関する最新の研究成果が紹介された。そして、それらを基に、とるべき対策や今後の研究の方向性について、専門を異にする多くの教員や留学生を含めて、総合的な議論を行ったものである。

報告

セミナーでは、小林健一郎京都大学特定准教授から、「Flood disaster analysis of Japan using a distributed rainfall-runoff/flood inundation simulation」、苑希民中国天津大学教授から、「Situation of mountain flood disasters and middle and small river basin management in China」、王静中国水利水電科学研究院研究員から、「Urban inundation problem, flood simulation technology and its application in China」という題目で話題提供がなされた。
小林准教授の講演では、彼自身が開発してきた、流出解析・洪水氾濫解析を統合した高精度の流域モデルを基にした解析事例が紹介された。滋賀県日野川流域, 兵庫県佐用町を対象とした洪水氾濫解析や経済被害推定結果が示され、さらに淀川流域モデルについて興味深い話がなされた。あわせて日野川のワークショップの話題も簡単に紹介された。 苑教授の講演では、最近の中国の土砂災害や中国の中小河川流域での洪水災害の実態が報告された。中国の山地域での土石流を含む土砂災害は、わが国のものと比べて非常にスケールが大きく、かつ厳しいものであることが示された。あわせて洪水・土砂災害に対する今後の中国の取り組みが紹介された。
王研究員からは、中国の都市域での都市水害の実態が詳細に報告されるとともに、彼女らのグループが開発した内水氾濫モデルとその適用事例(済南市などの解析事例)が紹介された。
各講演が終了する度に多くの質問があり、留学生を含めて熱心な討議がなされていた。スケールは異なっても中国とわが国の水害には類似点も多く、水害の予測と対策に関して、今後、いっそうの共同研究の推進が期待される。