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イベント詳細


京都大学原子炉実験所 放射性廃棄物管理専門研究会

開催日:2011年11月21 - 22日
場所:京都大学原子炉実験所事務棟大会議室

主催:
京都大学原子炉実験所

共催:
京都大学グローバルCOEプログラム「アジア・メガシティの人間安全保障工学拠点」

出席者数:約130名

Report 177

概要

3月11日の東日本大震災に伴う大津波に起因する福島第一原子力発電所の事故で発生した放射性廃棄物に対しては、従来の「放射性廃棄物管理」の概念はそのままでは通用しない。最大の違いは、従来対象としてきた放射性廃棄物が原子力施設の計画的操業に従って発生した管理下にある廃棄物であるのに対し、事故で発生した廃棄物はそうではなく、想定外として規制法も準備されていないことである。これまで発生源ごとに発生する廃棄物の性状や含まれる放射性核種、放射性物質濃度を考慮してその危険性を閉じ込めるため、処分用固化体に必要な性能、放射性物質の漏洩を防ぐ処分場の建設、安全性の確保を確認するためのモニタリング方法等について、それぞれ細部に至るまで詳細に時間をかけて検討を続けてきた。
福島や近隣県の現況は一刻を争う深刻な状況が続いており、ほとんど経験したことがないような高濃度の廃棄物や廃液の処理を急ぐ必要があり、その結果発生する二次廃棄物の取り扱いや最終処分を検討する必要がある。また、原子力施設外が広範囲に汚染されたため、除染作業の結果発生する廃棄物や下水汚泥、ゴミ焼却灰等が放射性物質で汚染され、除染方法の確立や法律的枠組を始めとして放射性廃棄物を取り扱うための新しいパラダイムの構築が必要であると思われる。

報告

研究会は3部構成でおこなわれ、第1部では福島第一原子力発電所内でおこなわれている高濃度汚染水の処理、高濃度に汚染されたがれきの処理、これらの結果発生する二次廃棄物の管理について、発電所内で作業を行っている担当者から、第2部では広く環境に放出された放射性物質の管理とその制度化について政府の担当者等から発表が行われた。
第3部では総合討論としてこの汚染された現状にどのように対処するべきかそれぞれの立場から意見を述べあい、討論を行った。
現状は深刻であり、早急な復旧は容易ではないが、様々な立場からの経験の情報を共有し国民の総力を結集してこの問題に対処することが重要であるとの認識で一致した。