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イベント詳細


第2回気候変動下のアジア諸国における豪雨に起因する斜面崩壊に関する研究集会

開催日:2012年3月13日
場所:西日本高速道路株式会社本社会議室(〒530-0003大阪市北区堂島1丁目6番20号)

主催:
- 京都大学大学院工学研究科都市社会工学専攻
- 京都大学大学院工学研究科社会基盤工学専攻

共催:
- 西日本高速道路株式会社
- 京都大学グローバルCOEプログラム「アジア・メガシティの人間安全保障工学拠点」

出席者数:60名

Report 195
Program

概要

昨今,アジア諸国では,気候変動の一現象とみなされる集中豪雨に起因する斜面災害が頻発している。このような状況を踏まえ,京都大学大学院工学研究科は,2007年9月よりタイ・カセサート大学およびタイ・アジア工科大学との共同研究プロジェクトとして,タイ・ナコンナヨックにおきまして熱帯性豪雨(スコール)時の斜面の雨水浸透に関する原位置モニタリングを実施してきた。そして,2010年2月より,西日本高速道路株式会社との共同研究として,ナコンナヨック道路斜面,また2011年5月よりは,新たにプーケット道路斜面を加えた2ヶ所の原位置モニタリングにおいて,道路防災の観点からの集中豪雨に対する土砂災害早期警戒体制の立案を目的とした研究を実施してきた。 本研究集会は,昨年度に引き続き,本研究成果に加え,タイからの招待講演者によるアジア諸国における豪雨に起因する自然災害の報告を目的とした研究集会を企画したものである。具体的には,共同研究成果の報告に加え,本研究のカウンターパートであるカセサート大学,アジア工科大学およびタイ運輸省道路局DOH(Department of Highways, Ministry of Transport of Thailand)のR&D部門関係者を講演者として招き,2011年タイでの大洪水発生時の対応,ベトナム・タイにおける集中豪雨に起因する斜面災害報告に加えて,西日本高速道路株式会社の開発による原位置地盤強度測定装置のプーケット道路斜面における適用結果について報告するとともに参加者との議論を実施した。

報告

本研究集会では,まずMontri Dechasakulsom(タイ道路省)より,「2011年のタイ洪水による道路被害」と題した講演において,道路被害に加えてタイ道路省が実施した緊急支援活動,および復旧活動について報告された。つづいて,Pham Huy Giao (アジア工科大学),Suttisak Soralump (カセサート大学),Apiniti Jotisankasa (カセサート大学),筆者および安部哲生(NEXCO総研)から,それぞれタ2010-2010年ベトナムおよびタイにおける地すべり・斜面崩壊事例に関する講演がなされた。この発表内容は,以下のように要約される。すなわち,気候変動下のアジア地域においては,大規模自然災害の発生が急増中である中,タイ道路省等の道路管理者は,早期の復旧活動のみならず,地域住民への緊急支援,道路利用者に対するWebおよびFace bookを用いた通行止め・迂回情報の提供等のサービスが不可欠の課題であることが示された。また,斜面崩壊事例については,近年ベトナム・タイにおいては斜面崩壊が急増中であるため,住民避難および道路通行規制を目的と土砂災害早期警戒体制の立案が斜面災害リスク低減の観点から最も有効な方策の一つであるとの見解が示された。
昨今,日本においてもゲリラ豪雨に代表される異常気象の発生に対する自然災害リスク低減の必要性が高まる中,本研究集会では,講演に関して参加者が高い関心を示すとともに,講演者との闊達な質疑応答がなされた。