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イベント詳細


GCOEセミナー「ベトナムにおける鋼構造建設物の災害軽減設計」

開催日:2012年8月23日(木) 14:00~15:00
場所:京都大学桂キャンパスC2棟 102講義室

主催:
京都大学グローバルCOEプログラム「アジア・メガシティの人間安全保障工学拠点」

参加者数:21名


Poster
Report 221

概要

本セミナーでは、べトナムにおける鋼構造分野の権威である研究者を招き、日本とベトナムにおける鋼構造建設物の構造設計基準の比較を主眼に講演会を開催した。
また、べトナムの鋼構造建設物の実態と、災害軽減設計について理解を深める機会としても企画した。

報告

講師はホーチミン工科大学のDr. TRAN Thu TamとDr. NGO-HUU Cuongであり、それぞれの専門分野は港湾工学および構造工学である。講演会の内容は主に下記の点である。
1) べトナムでの建設の実態と発生地震の状況
2) 日本とべトナムにおける設計基準の比較

べトナムでは過去巨大地震は発生していないものの、中小地震の発生頻度は増してきている。その中で、かつて1975年までは耐震設計基準が存在しなかったが、その後ロシアにおける耐震設計基準が導入され、90年代後半にはアメリカの設計基準(AASHTO)、およびユーロコード(EUROCODE8)が導入されるなど、各国の耐震設計基準が盛り込まれ、巨大地震に対しても考慮され始めている。
しかしながら、近年になってようやく本格的に耐震設計が導入され始めてきたというのが実情であり、耐震設計の適用は外資による超高層プロジェクトなど一部に限られる。一般建築にはまだなじみが薄く、設計者にとっても知見・経験が乏しいため、今後実績が蓄積されていくことが望まれる。
また、Dr. TRAN Thu Tamからは杭について、Dr. NGO-HUU Cuongからは建築上部構造について、それぞれ日本とベトナムでの設計基準の比較分析結果が紹介され、双方の利点、特徴について論じられた。日本の設計基準とは基本的な考え方は変わらないが、安全係数の取り方などが異なり、日本の方が安全率が高く設定されている場合が多いことが指摘された。また、前述のようにべトナムの設計基準はロシアの基準をもとに、近年ではAASHTO、ユーロコードの考え方が導入されており、各国の設計基準による考え方が混在しているのが特徴である。
講演終了後、べトナムでの発生地震動などについて活発な質疑応答がされ、べトナムにおける災害軽減設計に関して理解を深めた。