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イベント詳細


2012年度交通計画に関する京都大学ーベトナム交通通信大学ジョイントサマートレーニングコース

開催日:2012年9月24日 - 27日
場所:ベトナム交通運輸大学(UTC)

主催:
- 京都大学経営管理大学院
- ベトナム交通運輸大学(UTC)

共催:
- 京都大学経営管理大学院経営研究センター
- 京都大学グローバルCOEプログラム「アジア・メガシティの人間安全保障工学拠点」

出席者数:合計 約50名(4日間)

Report 218


目的・概要

人々の交通手段を確保し,その環境整備を促進することは,先進国だけでなく途上国においても,人々の日常生活を支援するために重要である.また,交通は,人々に都市と都市の間の交流の基盤として経済成長や経済活動に影響を及ぼす.交通システムの性能は,数多くの政策的関心事,例えば,空気環境,環境資源の消費,社会的公平性,経済開発,土地利用,都市の成長過程,安全・安心など,に影響を及ぼす.交通計画は,交通と他の社会的目標をつなぐ重要な架け橋である.交通施設計画,需要分析,プロジェクト評価,トリップ調査手法等は,効率的な交通サービス(自家用車だけでなく,バスや電車等の公共交通機関を含む)を実施するために重要であることは言うまでもない. このような観点から,本サマーコースでは,交通計画に伴う基礎的な概念や知識を提供し,実際の都市での適用事例について紹介することを目的とする.本コースの受講を通じて,参加者には,都市交通システムに関する基礎概念や費用便益分析等,交通計画を実践するために必要な知識の理解を促す.

サマースクールの様子・得られた成果

初日には,松島准教授が本コースの目的やアジア地域の経済,交通需要,道路ネットワークについての現状と課題について紹介した.続いて, Dr. Ly Huy Tuanが,ベトナムにおける交通ネットワーク計画及び交通戦略について講義を行った.さらに,石本氏(日本工営)がプロジェクトマネジメントの考え方について講義を行った.午後からは,小林教授が統合的交通計画の役割やプロジェクト評価の重要性について,その概念や背景とともに説明した.最後に松島准教授より,費用便益分析の方法論や,実際の事業に基づいた分析事例について講義を行った.
2日目には,細見氏(日本コンサルタンツ)がベトナムにおける都市鉄道プロジェクトの実際について講義を行うとともに,ハノイとホーチミンにおける地下鉄の建設プロジェクトの状況について説明した.つづいて松島准教授が,交通需要推定の基礎となる四段階推定法について講義を行った.交通計画における需要予測の重要性と,実際の手順について詳細な説明を行った.ひきつづいて Mr.Nguyen Trong Hiepが交通需要を予測するためのソフトウェアJICA Stradaの使い方とハノイ市内での適用事例について講義を行った.さらに,ハノイ都市圏で2005年に行われたパーソントリップ調査の内容について,パーソントリップ調査の重要性とともに講義を行った.
最終日には,松島准教授がプロジェクト評価におけるCUE(Computable Urban Economic)モデルの重要性について講述するとともに,CUEモデル構築の理論的背景となっている都市経済モデル,マクロ経済学における経済フロー,ミクロ経済学について説明した.最後にCUEモデルを用いた交通プロジェクト評価の実例について,様々な指標を取り上げながら説明した.
自治体や政府の交通計画関係者やUTCの講師,学生が本サマーコースに参加し,その参加者は,3日間総計50名を数えた.各講義の後には,講師と参加者の間で積極的に質問や議論が行われ,特にベトナムの将来の交通計画に対する質問が多くなされた.最終日には,本サマーコースの参加者に対する修了書の授与式が行われ,小林教授より講師と学生の間の理解深化の相互作用とその重要性について講演し閉会した.


参加者による集合写真