田中 俊徳
人間の安全保障のための「持続可能な観光」
地球環境学舎 地球環境学専攻 地球環境政策論分野
行き先:ユネスコ本部世界遺産センター、世界観光機関(フランス、スペイン)
期 間:2009年10月13日〜10月28日
HSEではベトナムの世界自然遺産であるハロン湾を対象に「持続可能な観光」(ST)の研究をしています。観 光産業は世界中の総生産、雇用のうち共に10%以上を占める産業として急成長しており、今後もBRICsなど人口の多い国々の発展に伴いその市場は急拡大 すると予測されています。ベトナムでもこの10年間で観光客が爆発的に増え、ハロン湾を訪れる観光客数はこの10年間で10倍以上になっています。途上国 の多くが観光開発に力を入れている理由は観光産業が雇用を生み出し、経済活動の多様化や投資の拡大によるインフラ整備、外貨獲得などが見込めるからです。 外貨獲得によって、教育機会の増加や福祉の充実なども見込めます。一方で、観光開発が優先されると自然や地域文化の破壊、所得の不均衡といった問題を引き 起こします。観光産業は多くの国や地域にとって福音となる可能性がある反面、その運用を間違えば地域を破壊する諸悪の根源になる可能性も秘めています。従 来はローカルな視点からSTを研究していますが、今回はインターンの機会を利用してユネスコやUNWTO(世界観光機関)といった国際機関でグローバルな 視点からSTの現状を研究しました。