イベント詳細
日本およびオーストラリアの若手研究者による水再生と再利用に関するGCOEセミナー
開催日:2010年11月17日
場所:京都大学流域圏総合環境質研究センター 会議室
主催:
京都大学流域圏総合環境質研究センター
共催:
京都大学グローバルCOEプログラム「アジア・メガシティの人間安全保障工学拠点」
出席者数:約40名
Report 131
概要
下水処理水は都市部に存在する水資源として貴重であり,水の有効活用の視点から,下水処理水を農地や都市で再利用することが世界的にも重要になってきている。本セミナーでは,資源の有効利用と循環型社会の形成に向けて,日本およびオーストラリアの若手研究者が,下水処理水の再生と再利用に関して,現在取り組んでいる技術や今後の課題について議論することを目的とする。下水処理水の再生と再利用において問題となる話題として,化学物質に よる水汚染実態とそのリスク,オゾン処理や膜処理技術を用いた水の再生技術,水の再生技術におけるエネルギー評価について,現在の研究動向に関する発表を行うとともに,今後の下水再生水利用のあり方について意見交換を行う。
報告
本セミナーでは,初めに京都大学・田中宏明教授より,セミナー開催にあたって,水の有効活用の視点から,下水処理水を農地や都市で再利用することが世界的に重要になってきており,特にオーストラリアでは下水処理水の再利用に関して新しい取組みがなされていることが説明された。続いて,京都大学・井原賢研究員から,京都大学流域圏総合環境質研究センターがコアとなって進められているCRESTプロジェクト「21 世紀型都市水循環系の構築のための水再生技術の開発と評価」について,そのプロジェクト概要と研究内容について説明がなされた。 次に,京都大学・中田典秀助教から,新規汚染化学物質として近年注目されている医薬品類について,その水環境中における動態に関して最新の研究動向が紹介された。また,京都大学・山下尚之講師からは,水環境中に存在する医薬品類について,その水生生物への毒性影響と生態リスクに関する説明がなされた。続いて,京都大学・田中宏明教授からは,水中に存在する医薬品について,オゾンや紫外線を活用した除去技術に関して,最近の研究成果が紹介された。その後,流域圏総合環境質研究センターに所属する大学院生から,水中の病原微生物に対する消毒技術,消毒時に生成される消毒副生成物,下水再生水を作るために必要となるエネルギーについて,最新の研究成果が発表された。最後に,Page 博士からは,これまで関わってこられたオーストラリアにおける下水処理水や雨水排水の再利用の現状と課題について説明がなされた。雨水排水の地下浸透って,水資源の確保と水質浄化を行う技術について紹介がなされ,その技術的な課題等について討議が行われた。