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イベント詳細


2011年度道路アセットインフラ管理に関する 京都大学-ベトナム交通通信大学ジョイントトレーニングコース

開催日:2011年9月22日 - 24日
場所:ベトナム交通通信大学 (ベトナム)

主催:
- 京都大学経営管理大学院
- ベトナム交通通信大学

共催:
- 京都大学グローバルCOE”アジア・メガシティの人間安全保障工学拠点”
- 京都大学経営管理研究センター

出席者数:約40名

Report 174

概要

道路インフラアセットマネジメントに関する京都大学とベトナム交通通信大学(University of Transport and Communications)のサマーコースは,2005年から毎年開催しています.このコースの目的は,1)インフラアセット管理の基本的な概念と理論の理解,2)舗装や斜面,橋やトンネル等の道路インフラを設計し,管理するための基本的な分析枠組みを習得,3)建設,管理におけるリスク管理手法の理解の深化,4)これらの知識の実社会への適用方法の習得にあります.さらに今年度は, 2011年7月に開始されたJICAの路維持管理能力強化プロジェクトを考慮して,アセットマネジメントシステム”Kyoto Model”の試行版を実際のパソコンを用いて参加者に利用してもらうことを目的としています. 本コースは,道路管理に携わる学生,研究者さらに実務者を対象に行っており,講義の質を担保するため,ベトナムにおける道路管理に実際に携わる実務者や研究者を講義者として招聘しています.本コースの最終的な目標は,道路アセット管理に関する経験や知識を普及させ,実務者や学生の能力開発を行うことであり,こうした講義を通じて,ベトナム政府が独自に道路管理システムを開発,管理していくことを促しています.

トレーニングコースの様子・得られた成果

本トレーニングコースでは,約40名の参加者を迎えた上で, Nguyen Van Vinh (副学長, UTC) 氏が開会の辞を行いました.続いて,小林教授が本トレーニングコースの趣旨説明を行い,JICAベトナム事務所を代表して,Vinh Phan氏が本サマーコースならびにアセットマネジメントシステム”Kyoto Model”に対する期待を述べました.講義でははじめに澤井教授がアセットマネジメントシステムの国際規格であるISO55000シリーズについて,続いて,小林教授がアセットマネジメントの総論と”Kyoto Model”におけるベンチマーキングの概要について説明しました.Thao講師(UTC)は,ベトナムの実情を踏まえた道路管理の必要性とライフサイクルコスト概念について講義を行い,貝戸准教授は(大阪大学)はベンチマーキングの理論的背景について講義を行い,橋梁データを用いた応用例を紹介しました.初日の最後は,加藤氏(片平エンジニアリング・インターナショナル)が,今年7月から開始したJICAの道路維持管理能力強化プロジェクトの実施にあたっての背景,目的,組織体制等について説明しました.
二日目は,はじめに塩谷准教授が,アセット管理におけるモニタリングの総論について,続いて,坂井氏(阪高)が,ロジックモデルを用いたマネジメントシステムについて講義を行いました.Nam氏(ETH)は,隠れマルコフモデルを用いたアセット劣化モデルについて紹介しました.Trung教授(UTC)は,ベトナムの橋梁の現状とリスク管理について講義を行い,続いて,青木(NEXCO総研)氏は,橋梁の点検活動について日本の実例を踏まえて講義を行いました.二日目の最後は,神谷(NEXCO総研)氏が,NEXCOで実施に運用されているマネジメントシステムの概要について述べました.
最終日は,沢田准教授(岐阜大)が,岐阜県におけるアセットマネジメントへの取り組みについて,組織体制も含めて講義を行いました.続いて河野教授は,コンクリート構造の維持管理手法について,また大津教授は地盤構造物の維持管理についてそれぞれ実例を踏まえて講義を行いました.午後からは,パソコンルームに会場を移し,”Kyoto Model”の試行版をベトナムのデータを用いて各参加者に実際に利用させ,各パラメータの解釈等について講義を行いました.
講義終了後は,各受講者には修了書を授与して本トレーニングコースを終了しました.今年度は,具体的なプロジェクトとの連携を図ったこともあり,現場に則した質問(具体的なマネジメントシステムの運用方法等)が多く出され,ベトナムにおける道路管理ニーズ高さを再実感するトレーニングコースとなりました.