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イベント詳細


2012年度 道路アセットインフラ管理に関する 京都大学-ベトナム交通通信大学ジョイントトレーニングコース

開催日:2012年9月24日 - 27日
場所:ベトナム交通通信大学

主催:
- 京都大学経営管理大学院
- ベトナム交通通信大学

共催:
- 京都大学グローバルCOEプログラム「アジア・メガシティの人間安全保障工学拠点」
- 京都大学経営管理研究センター

出席者数:約30 名

Report 217


概要

道路インフラアセットマネジメントに関する京都大学とベトナム交通通信大学(University of Transport and Communications)のサマーコースは,インフラアセット管理の基本的な概念や理論の理解などを目的に2005年から毎年開催しています.講義内容は道路アセット管理に関する最新の傾向を把握するため,最新の研究成果を踏まえて毎年更新してきました.本年度は本学経営管理大学院が中心となって進めているISO5500X「アセットマネジメント」に沿って網羅的に講義が組みました.さらに,ベトナムで実施されている本学発の道路アセットマネジメントソフトウエア「京都モデル」のデモンストレーション,実際のソフトウエアを用いた演習,そして実際の調査車両が紹介しました.また,本講義は本年度より本学経営管理大学院の海外正規講義として位置づけられ,試験で合格すれば単位が付与されるようになりました.これらの特徴から本年度は,ベトナムの道路管理に携わる学生,研究者,実務者に加えて,本学学生(6名)が積極的に参加しました.なお,本コースの目標は,本学学生のみならず,ベトナムの道路アセットに関する経験や知識の普及,そして実務者や学生の能力開発で,コース通じて,ベトナム政府が自ら道路管理できることを促しています.

サマースクールの様子・得られた成果

本コースは,約30名の参加者を迎えUTCの総長の開会の辞により開会しました.最初の講義は,澤井教授より,アセットマネジメントの全体像がISO5500Xの成果を用いて紹介しました.続いて,小林教授より持続可能なインフラとアセットマネジメントと題して,インフラ建設と経済成長速度,アセットマネジメントが実現しようとしている具体的な内容が示されました.続いて,塩谷准教授よりモニタリングの位置づけとその最終目的が示されました.続いて,河野教授によりコンクリート構造物を例とした劣化の因子や性能評価手法が説明されました.最後に貝戸准教授(大阪大学)より,道路性能評価のマルコフ推移確率を用いた方法論と実際のベトナムへの適用例が紹介されました.また実際の調査車両をキャンパスに持ち込み参加学生に公開するという初めての試みもなされ,調査担当者との活発な質疑が展開されました.
二日目は,まず大津教授により斜面や堤防を事例に安全率とリスクの違いが講義されました.続いて小林先生がリスクの本質的概念を身近な家族などを例に解説しました.続いて,Trung教授(UTC)よりベトナムでのリスク解析,橋梁アバットの欠陥マネジメント事例などが示されました.続いてThao講師(UTC)より,ライフサイクルコストの具体的計算手法が示されました.次に,小林教授により道路アセットマネジメントソフトウエア「京都モデル」について,その研究開発経緯とベトナムでの運用事例が紹介されました.最後にベトナムでJICAプロジェクトとして京都モデルを運用している加藤氏(片平エンジニアリング)より,実務的観点での同ソフトウエアが説明されました.
三日目は,青木氏(パスコ)より舗装コンディション調査方法,具体的なデータ活用方法が講義されました.続いてPCルームに場を移し,京都モデルの操作方法を実演するとともに受講者自らの操作実習が行われました.講義終了後,受講者の理解度を確認するため,試験を実施しました.なお,成績評価とは別に,参加者には現地でコース終了証明書が授与されました.
本学学生には上記3日間の座学に加え,JICA,日本工営の協力の下,現地視察を組込み,得られた知識を実際の橋梁など確認できる機会を提供しました.
本コースを通じ,ベトナムでアセットマネジメントに欠かせない技術者の育成,学問レベルのボトムアップが図られたとともにUTCと本学との更に太い関係構築がなされたことを確信しました.また,本学学生にとっては海外で京都大学講義を履修できる新たな機会創出が実現でき,4日間の短期ではありましたが参加者がコース履修前後で確実に世界へ向け一歩前進したことを感じた次第です.


トレーニングコースの様子